孫:基本的に電波の周波数が十分に活用されていないし、有効利用されていないんですよ。これに関しては、僕はもう言いたいことは山ほどあります。だいたいiPhoneが、「都心から少し離れるとつながらない」と、もう毎日のようにお叱りを受けていますが、我々が建てている電波の基地局の数って、少なくともauさんの倍くらいあるんですね。ドコモさんとあまり変わらないぐらいの基地局の数を持っているのに、我々には2GHz帯しかなく、我々だけが800MHz帯の周波数を割り当てられてないんです。
夏野:孫さんの仰ったことを解説すると、たとえばドコモの携帯電話は二つの周波数、厳密には三つなのですが、わかりやすく言って二つの周波数を使ってます。一つは国際的に、この3Gという方式で認められた2GHz帯というものです。もう一つは第2世代用に使っていた800MHz帯という電波。もともとは「PDC」という方式で、初期のiモードなどに使われていた周波数帯です。ドコモの場合、これを3Gにも転用しているので、この携帯電話は二つの周波数を使っています。2GHzと800MHzを比べると、じつは800MHzのほうが、遠くに届くんです。一方、2GHzというのは高い周波数なので直進性が高く、スピードも早いけど、そのぶん反射しにくいため、たとえば屋内に入るとつながりにくくなります。「減衰」と言って、反射したときに電波の力が衰えてしまうんですね。屋内でつながりにくいのはこうした理由からです。それと同じ野原に二つつの電波を出すと、800MHzのほうが遠くに届きますよね。
孫:そうそう。それから夏になるとソフトバンクの電波って通りにくくなるんですよ。あれは木の葉っぱが…。
夏野:葉っぱがダメなんですよね。だから軽井沢とかもダメで。
孫:だから我々はね、もう泣きたいくらい800MHz帯が欲しいわけですよ。ドコモさんもauさんも、800MHzを好きなだけエンジョイして使っておられる。我々は2GHz帯だけでやらなきゃいけないので、本当に苦しいんですよね。